Anatoly Yakovenko(Solana Labs), Max Resnick(Anza), Lucas Bruder(Jito Labs), Austin Federa(DoubleZero), Chris Heaney(Drift), Kyle Samani(Multicoin Capital)
2025-07-24
この記事はAnzaの「The Internet Capital Markets Roadmap」https://www.anza.xyz/blog/the-internet-capital-markets-roadmapを要約して翻訳したものです。 詳細は元記事をご参照ください。
Solanaの当初の使命は、「インターネット・キャピタル・マーケット(ICM)」の分散型基盤を構築することでした。帯域幅を広げ、レイテンシーを下げること(IBRL)は必要不可欠ですが、それだけでは不十分です。Solanaのロードマップには第3の柱が必要であり、それが「市場マイクロストラクチャ(市場構造の微細設計)」への対応です。
市場には無数の要素が絡み合っており、それぞれが均衡全体に大きな影響を及ぼします。これまでは、ICMにおける市場構造がトラディショナル・ファイナンス(TradFi)とどう異なるべきか明確ではありませんでした。
しかし今、Solanaエコシステムは「アプリケーション制御型実行(ACE)」というビジョンに収束しつつあります。ACEの究極の目標は、スマートコントラクトがミリ秒単位でトランザクション順序を制御できるようにすることです。私たちがエコシステムのチームと話す中で、市場構造こそがSolanaの最大の課題だという意見が一致しています。
Solanaエコシステム全体がこの課題解決に取り組んでいます。
今、Solanaは、ユーザー数、流動性、規制面の明確さ、優れたウォレット、グローバルなオンボーディング環境など、あらゆる面で暗号通貨界の中で最良のプラットフォームです。しかし、アプリケーションによっては独自の市場構造を試すため、別の技術を採用して構築する選択をしています。Solanaは、単なるユーザーアクセスのためだけでなく、「新しい市場構造を試したい人が最初に選ぶ場所」でなければなりません。
1.市場マイクロストラクチャにおける主要なトレードオフの概要
2.Solanaメインネット上で柔軟な市場構造を可能にするための短期・中期・長期の具体的なソリューション
それでは始めましょう。
以下はすべてを網羅したものではありませんが、今日の業界でアプリが直面している典型的なトレードオフです。
注文を実行前に公開すべきか?
公開する場合:マーケットメイカーとの非対称性が減り、リテール注文の実行精度が上がる。
非公開にする場合:マーケットメイカーはリスクを避けられるが、市場の透明性と予測可能性は低下。
スピードバンプ(注文遅延)は悪質な取引を減らしスプレッドを縮めるが、ボリュームが減り価格発見が遅くなる。 本質的には「取引量よりも流動性」が重要であり、Solanaは「最も流動性の高い市場」を目指すべき。
インクルージョン時間(トランザクションがチェーンに載るまでの時間):マーケットメイカーにとっては最も重要。
ファイナリティ(最終確定までの時間):現在は約1秒、Alpenglow後は約150msに。
インクルージョンは2026年初頭には50–100msまで短縮予定。
コロケーション(同一データセンター)は一見高速だが、地理的イベントの情報伝播に時間がかかる。
**MCL(Multiple Concurrent Leaders)**により、世界各地の情報を同時にスロットに反映可能に。
メイカー優先の方がスプレッドは狭くなる。
現在のSolanaでは明示的な優先順位はないが、実質的にはテイカー優位。
ACE導入で、アプリごとに制御可能に。
リテールは非情報型取引を増やしスプレッドを縮めるため、歓迎される。
Solanaではアプリごとにそれぞれ最適化されたUXを提供すれば両立可能。
Solanaは「ひとつの市場構造が最良」とは考えない。
現場でテスト・データ収集・改善を高速に繰り返す土台を構築。
BAMはプラグインでアプリごとのトランザクション順序を定義できる次世代型トランザクション処理レイヤー。
Trusted Execution Environment(TEE)内で動作し、プライバシー確保+透明性保証を両立。
Drift, Pyth, Dflowなどがすでに設計パートナーとして参加。
BAMによりSolana上のCLOBがCEXレベルに。
Agave 2.3ではTPUクライアントが改善され、トランザクションが0スロットで確実に着地。
QUIC周りのバグ修正で、以前より大幅に信頼性向上。
パブリックインターネットを超える専用ファイバー網。
マルチキャスト・ハードウェアアクセラレーションによって帯域10倍+遅延最大100ms削減。
9月にメインネット導入予定、以後段階的に普及。
Solanaの新しい高速コンセンサスプロトコル。
現在の12.8秒→150msでファイナリティ達成へ。
これによりMCLや非同期実行の実装が簡易に。
トランザクション実行の非同期化でレイテンシーを抜本的に削減。
Alpenglow後、2026年前半にメインネット導入予定。
Solanaがアプリに完全な順序制御権限を与えるための基盤。
1つのリーダーに依存しないことで検閲耐性+公平な順序が実現。
プライオリティフィーによる整列でキャンセル優先などのロジックが可能。
世界中の情報を一括で同一ブロックに反映でき、中央集権には不可能な構造。
MCLは「最も早く世界の情報を取り込み、同時に処理できる唯一の手段」です。Solanaが提供するツール群は、中央集権的な取引所では再現できない、インターネット時代の金融市場インフラを構築します。
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